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零売は本当に禁止されるべき?イギリスと比較して考えてみた

アリス薬局代表の石井です。
イギリス研修に行ってきました。
NPA(National Pharmacy Association)個人経営薬局組合・Green Light Pharmacyを訪問し、日本人ではじめて「処方権」を持った薬剤師さんや病院で医師の処方間違いの変更を行っている薬剤師さんのお話もうかがえたので、今回の経験を踏まえて、今後の零売・今後の日本の薬局はどうなっていくのか?少し、考えてみたいと思います。

 

なぜイギリス研修へ行ったのか?

医療の海外研修というとアメリカを想像する方も多いと思いますが、日本の薬局の制度はイギリスをなぞっている部分が多くあります。
日本の政府が視察にもきていて、イギリスの制度を見ると、今後の日本の薬局の向かう先が少し見える気がしました。

イギリスの制度を参考にする日本の薬局制度

コミュニティファーマシー:健康サポート薬局

イギリスで調剤を行う薬局は基本コミュニティファーマシーと呼ばれ、重要な役割を担っています。

1、必須サービス

・調剤
・リピート調剤
・退院時薬剤サービス
・不要な薬の廃棄
OTC販売
・公衆衛生

2、高度サービス

・新規の薬の服薬指導 1か月間集中的に薬剤師が確認する
インフルエンザワクチン
・高血圧の測定
・禁煙指導
・避妊の長期ピル

3、地域サービス 地域の保険政策にのっとったサービス

地域サービスは、地域ごとのニーズにもとづいてNHSや各地域の関係当局から薬局に委託されるサービスのことです。たとえば緊急避妊薬の処方や長期疾患管理、体重管理サービス、注射針交換サービスなどが該当し、内容は多岐にわたります。

 

サマリーケアレコード:マイナ保険証

かかりつけ医(GP)で登録された情報に薬剤師はアクセスすることができるため、誰がどこでどんな疾患で治療しているのかを把握することができ、活用がかなり進んでいます。

イギリスの医療制度

イギリスの医療制度はNHS(国民保健サービス National Health Service)と呼ばれています。
クリニックは、住んでいる地域で振り分けられるGP(かかりつけ医)です。イギリスの医療は基本的に病院も地域のクリニックも薬局も無料です。登録した病院(GP)にしかいけません。また、予約が全くとれないそうです。現地のガイドさんの経験だと、皮膚科にかかろうとするとGPの紹介が必要で、1年待ったりしたそうです。

ファーマシーファーストと薬剤師の処方権

「ファーマシーファースト」という制度は1年半前に始まりました。
ファーマシーファーストとは、7種類の疾患に対しては、GP(かかりつけ医)の診察を受けなくても薬が処方できるという制度です。

7種類の症状とは

・急性中耳炎
・膿痂疹(とびひ)
・感染性虫刺され
・帯状疱疹
・副鼻腔炎
・喉の痛み
・合併症のない尿路感染症
プライマリ・ケア(初期治療)とされるような疾患です。 どのような場合にどの薬を処方するかは、詳細に決められています。

また、上記とは別で2026年の夏から薬剤師免許を取得するものは全員に処方権が与えられます。ここでいう処方権とは、独立処方権のことで、すべての薬を処方することができます。

イギリスでは零売はあたりまえ?

実は、イギリスでは処方権を持つのは薬剤師だけではありません。看護師、理学療法士、足治療士、検眼士にも認められています。この処方権が広がっている背景には、GPの予約が取れない、医療アクセスの悪さがあります。医療費が限られているので、医師の仕事がどんどん他の医療者に振り分けられているということです。

さて、日本でも同じようなことが起こりえるのでしょうか。
イギリスは人頭払い(患者の登録数払い)です。この地域に住んでいる人はみんなこのクリニックと決められていて、登録しています。そのため、日本のように自由にクリニックが選べて、集患して患者数が利益になるという構図ではありません。GPは実際に患者を診ても診なくても収入は同じです。

そのため、処方権は権利というよりは義務という印象を受けました。

また、「ファーマシーファースト」を考えると、日本はOTCでファーマシーファーストのようなことがやりたいようですが、それであれば、零売でも同じようにある程度処方のルールをイギリスのように明確化して零売を推進することが、医療費削減やファーマシーファーストの考え方に則していると感じました。

まとめ

開業してから今まで、「調剤薬局が薬局だ。」「調剤しないなら薬剤師じゃない。」と言われ続けてきました。本当にそうでしょうか。イギリスでは、薬剤師の仕事のメインが調剤の薬剤師なんていないと感じました。薬局の薬剤師は「処方監査」、ワクチンを打つ、健康寿命を伸ばすための生活習慣病の予防などをメインとしていました。ピッキングや監査ですら、スペシャリストがいて薬剤師はマネジメントが主な仕事でした。現状の日本の薬剤師の仕事は、本当に6年も大学に行った人が職能を発揮していると言えるのでしょうか。
零売こそが薬剤師の仕事だとは言いませんが、患者さんの相談にのり、健康寿命を伸ばすことが人を幸せにする医療従事者だと私は思います。

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