妊娠にも影響するシックハウス症候群
更新日:2021年12月03日
こんにちは!
大阪で処方箋なしで病院の薬が買える(零売薬局)アリス薬局の薬剤師 山田明里紗です。
建物や家具や日用品に含まれる化学物質による空気汚染によって、人体に与える健康被害の総称です。
1970年頃、オイルショックの真っ只中、燃料の節約のため、省エネが推進され、多くの事務所ビルでは室内の換気量を大幅に減らすようになりました。
これが原因で、室内にいる人が化学物質に暴露される時間が長くなり、身体の不調を訴える不思議な現象が起こったのがはじまりです。
妊娠に影響を与えるため、本記事では、シックハウス症候群の原因と対策について解説させていただきます。
シックハウス症候群の原因
- 高湿度による細菌、カビ、ダニの繁殖
- 住宅の高度蜜化・高断熱化などによる、化学物質による空気汚染
- 石油やガスストーブによる一酸化炭素や二酸化炭素、窒素酸化物など
どのようなメカニズムで起こるのかまだ解明されていないところも多く、症状も個人差が大きいです。
まったく影響を受けない人もいれば、敏感に反応し症状が現れる人もいます。
シックハウス症候群による妊活の弊害
生活における化学物質の中には、生殖への影響、妊娠中の胎児への中枢神経や脳への影響などがあることがわかっており、室内の濃度指針値というものが厚生労働省から定められています。
特に妊活中に注意したい化学物質
- フタル酸ジ-2-エチルヘキシル - 精巣への影響(動物実験)
- フタル酸ジ-n-ブチル - 胎児の生殖器の影響(動物実験)
- クロルピリホス - 新生児の神経発達・脳への影響(動物実験)
- トルエン - 人における神経機能と生殖発生への影響
- キシレン - 妊娠中の暴露における出生時の中枢神経発達への影響(動物実験)
このような化学物質は、家の内装材・家具や接着剤、塗装に含まれています。
クロルピリホスはシロアリ駆除薬に使用されており、2003年から使用が禁止されています。
室内空気中の化学物質関連には、それぞれ室内濃度を超えないようにするための法律が定められており、発生当時に比べて暴露は少なくなっていると考えられます。
また、厚生労働省が定めた指針値を超えたからといって、すぐにシックハウス症候群になるわけではありません。
シックハウス症候群には、化学物質以外にも、生物因子・照度(目から受けるストレス)・騒音(耳から受けるストレス)などの物理的環境因子や精神的ストレスなども関係します。
また、カビやダニもシックハウス症候群の原因になるため、日々の生活で、そういった物質を発生させないようにすることも大切です。
シックハウス症候群の対策
- こまめに換気をする
換気することで、空気中の化学物質が外へ排出されます。
台所、浴室、トイレについている換気設備を活用して汚れた空気を排出するとともに、窓を開けて新しい空気を取り入れましょう。
- 日光を利用する
太陽光には、乾燥と殺菌の効果があります。
カーペットや寝具などを天日干し、常に乾燥した状態にしておくことで、それだけで防カビ効果が期待できます。
- 掃除機をかける
ダニ、ダニの死骸、ふんなどがアレルギーの原因となり、喘息や皮膚炎、結膜炎などを起こします原因になったり、症状を悪化させることがあります。
食べかすやふけなどもダニの餌になるため、こまめに掃除機をかけることで室内の汚染を防ぐことができます。
- 観葉植物を室内に置く
観葉植物の中でも空気をきれいにするものを「エコプラント」と言います。
初心者でも始められる観葉植物には、
サンセベリア、ポトス、ベンジャミンなどがおすすめです。
- 湿度を一定に保つ
カビは、ダニの餌になり、カビそのものが真菌症、アレルギーの原になります。
カビは湿度が高いと発生しやすくなりますが、逆に湿度が低いとのどの粘膜などを傷つけ、風邪がひきやすくなるため、湿度は50%くらいに保つようにしましょう。
いかがでしたでしょうか?
シックハウス症候群は日常のちょっとした工夫でも防ぐことができます。
シックハウス症候群を対策することは、日々の暮らしを快適に過ごすことに繋がります。
ぜひ取り入れやすいところから、対策してみましょう。
参考:科学的根拠に基づくシックハウス症候群に関する相談マニュアル(改定新版)
参考:How to Grow Fresh Air: 50 House Plants that Purify Your Home or Office
薬剤師
山田 明里紗
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