妊活中のファスティングのメリット
更新日:2021年11月16日
こんにちは!
処方箋なしで病院の薬が買える薬局(零売薬局)アリス薬局の薬剤師 山田明里紗です。
妊活におけるファスティングにはとてもメリットがあります。
私たちの細胞は約37兆個の細胞で構成されていると言われていますが、卵子はその中でも一番大きい細胞になります。排卵直前の卵子は0.1mmまで大きく成長します。
この卵子が精子と出会うことで受精し、細胞分裂を繰り返し、胎児となるわけですが、きちんと受精が完了するため、またその次の細胞分裂が、うまく繰り返されるためには、きちんとエネルギーを産生される必要があります。
細胞の中でエネルギー産生をおこなっているのは、ミトコンドリアと言われる細胞小器官でありますが、ファスティングを行うことで、ミトコンドリアによるエネルギー産生が増えることが最も大きなメリットになります。
オートファジーとは
「オートファージ」とは、自分自身の細胞内を掃除して分解し、リサイクルしてエネルギーにしているという生体機能であり、ノーベル医学・生理学賞を大隅良典教授が受賞されたことで詳細が明らかになりました。
『オートファジー』の語源は、「自分自身」を表すギリシャ語の”オート“と
「食べること」を意味する”ファジー“が合わさって出来た言葉です。
“オートファジー”とは、細胞が飢餓状態になると、細胞自身の一部や、体内の不要な細胞を分解し、再生して栄養源を作るシステムのことです。
オートファージ機能が活性化されると、古くなったタンパク質や不良ミトコンドリア、細胞内に溜まった壊れた組織・細胞などさらに、細胞内に侵入した病原性細菌などを分解して、新しいタンパク質に合成しなおされリサイクされます。
古くなったタンパク質やミトコンドリアは、蓄積することで、過剰な活性酸素を発生し、正常に働いているミトコンドリアの負担になってしまうため、オートファジーが活性化されることで、正常なミトコンドリアによるエネルギー産生を増やすことに繋がります。
この”細胞の自浄作用”のおかげで、成人男性は、1日に約200gのタンパク質を合成しているのですが、食事由来のタンパク質の量は、平均60〜80gしかありませんは、それを賄うことができます。
歳とともに衰えるオートファジー
人のカラダでは”オートファジー”は、毎日起こっています。
しかし、年齢を重ねるとともに、”オートファジー”を抑制する因子が増え、”オートファジー”の機能が損なわれていきます。
その結果、”自浄作用”が失われていき、老化に繋がるとされています。
オートファジーが活性化する因子
“オートファジー”を活性化させるには、カラダにかかる”ストレス状態”を
高めることで加速されます。
これらの”ストレス状態”は、「断食」「食事制限」「飢餓」といったものからもたらされます。
つまり、『ファスティング』によって活性化されるのです。
オートファジーは最後にものを食べてから16時間してからオートファジーの活性化が始まるといわれています。
そして、3日間で全身での”オートファジー”の活性化がされるといわれています。
<具体的方法>
- 1日の食事を8時間以内に抑える
(例:朝:なし 昼食:12時 夕食:20時)
- 毎回の食事を腹7~8分目で抑える
- ファスティングをする
(例:準備期間:2日 断食期間:3日 回復期間:2日)
また、体内の一酸化窒素も増加するので血管内の掃除が進み、機能を正常に保ち、活性酸素や老廃物をデトックスしてくれます。
オートファジーと病気の関連
そして、”オートファジー”と病気の関連も明らかになってきました。
たとえば、神経にかかわる病気。
神経細胞は、他の細胞と違って分裂をしません。
そのため、細胞の中に”ゴミ”がたまりやすいのですが、”オートファジー”が働かず、異常なタンパク質などが蓄積されるとアルツハイマー病やパーキンソン病といった病気と関連性があることが明らかになってきました。
神経性疾患は、”オートファジー”と極めて深い関係があるのです。
その他にも、糖尿病や動脈硬化、痛風、癌、クローン病などを”オートファジー”による「細胞内の掃除」が防いでいることがわかってきています。
“ファスティング”によって”オートファジー”が活性化され古くなった細胞を内側から新しく生まれ変わらせ、”デトックス”と”若返り”が促進されるのです。
低体重の方は注意を!
いかがでしたでしょか。オートファジーを活性するということは、古くなった細胞を内側から新しく生まれ変わらせ、デトックスと若返りを促進することができます。
しかし、オートファジーの活性を目的に、誰もがファスティングをすればいいというわけではありません。
BMI19以下の女性は、妊娠に至る期間が通常の4倍もかかると言われています。
BMI19以下の方は、体脂肪も少なく、食品や体内の脂質から、性ホルモンがつくられるため安易にファスティングや食事制限を行うことはかえって、妊娠を遠ざけてしまうことにもなりかねません。
また、ファスティングは3日間食事をしないため、それを補完する栄養素を摂りながら安全に行う必要があります。
自己判断で行い、低血糖や極度の貧血になって病院に運ばれるケースも少なくないため、専門家のもので行いましょう。
アリス薬局では、ファスティング指導も行っているため、ご興味がある方は、お気軽にご相談ください。
薬剤師
山田 明里紗
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