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高血圧の初期症状を薬剤師が解説。自覚症状がないまま進行する「サイレントキラー」の怖さ

「健康診断で血圧が高めと言われたけれど、何も症状がないから大丈夫」


「肩こりや頭痛があるけれど、これって高血圧のサイン?」

血圧について、こうした漠然とした不安を抱えている方は本当に多いものです。


薬局のカウンターで日々お薬をお渡ししていると、高血圧の症状に関するご相談は月におよそ30件にのぼります。

そのなかで感じるのは、「高血圧には自覚症状がある」と思い込んでいる方が多いということ。

実際には、高血圧は初期にはほとんど自覚症状が出ません。だからこそ「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」と呼ばれ、症状が出たときには動脈硬化がかなり進行しているケースも珍しくありません。

なかには「症状がないから」と健診結果を放置し、数年後に脳卒中や心筋梗塞を起こしてしまった方も。

一方で、高血圧脳症のように命に関わる症状が出ているのに「ただの頭痛」と軽視してしまうケースもあります。

本記事では、JSH2025を参考に高血圧の初期症状といわれるサインや無症状で進行する怖さ、糖尿病との関係、家庭血圧計の使い方を薬剤師が解説します。 

クリニックに行く時間がない方向けに、オンライン診療の活用法もご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

※JSH2025:日本高血圧学会が作成した『高血圧管理・治療ガイドライン2025』の略称

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目次

高血圧に初期症状はある?「サイレントキラー」と呼ばれる理由

まず知っておいてほしいのは、高血圧の特徴が「症状が出にくい」ということ。なぜ自覚しにくいのかをみていきましょう。

高血圧の初期はほとんど無症状

血圧が高いだけでは、痛みや不調はほとんど出ません。

これは多くの方が意外に思われるところです。健康診断で初めて高血圧を指摘される方の大半が「何の症状もなかった」とおっしゃるのは、まさにこの理由によります。

JSH2025でも、高血圧は140/90 mmHg以上(診察室血圧)を診断基準としていますが、この水準で自覚症状を生じるとは記載されていません。むしろ症状の有無にかかわらず、長期的・継続的な管理が前提とされています。

なぜ「サイレントキラー」と呼ばれるのか

自覚症状がない一方で、血管には常に高い圧力がかかり続けます。

これが何年も積み重なることで、動脈の壁が厚く硬くなり(動脈硬化)、脳・心臓・腎臓などの臓器に静かにダメージが蓄積していきます。症状が出たときには、すでに合併症が進行している。これが「サイレントキラー」と呼ばれる本質です。

JSH2025では、高血圧患者(140/90 mmHg以上)だけでなく、高値血圧(130〜139/80〜89 mmHg)や、脳心血管リスクが高まる正常高値血圧以上(120/80 mmHg以上)のすべての人に対象を広げました。

発症前段階からの予防・生活習慣改善の重要性が、より強調された改訂となっています。

薬剤師が「無症状こそ危険」と伝える理由

「症状がない=健康」という思い込みは、受診や治療開始を遅らせる最大の要因です。

日本は諸外国と比較して血圧管理率が低いことがJSH2025でも指摘されており、その背景のひとつにこの「無症状による油断」があります。

自覚に頼らず、数値で把握する習慣を持つことが何より大切です。

薬剤師が現場で受ける「高血圧の症状」相談のリアル

「自分だけではない」ことを知っていただくため、現場で受ける相談の傾向を共有します。

月30件の相談で多い「これは高血圧の症状?」

私の勤務する薬局では、「血圧に関する症状の相談」は月に30件ほど寄せられます。

多いのは、肩こり、頭痛、めまい、動悸、のぼせなどを「もしかして高血圧のせい?」と結びつけてのご相談です。また、健診で指摘された方からは「症状がないから薬を飲みたくない」という声も少なくありません。

高血圧の症状にまつわる患者の誤解Top3

誤解の内容 実際の考え方
高血圧には自覚症状がある 初期はほぼ無症状。症状の有無では判断できない
症状がないから治療しなくていい 無症状でも動脈硬化は進行する。JSH2025は症状によらず管理を推奨
肩こり=高血圧 肩こりは高血圧に特異的な症状ではなく、原因は多岐にわたる

無症状を放置して合併症に至った患者事例

50代の男性で、健診で「収縮期160 mmHg台」を数年指摘されながら、「症状がないから」と放置されていた方がいらっしゃいました。

残念ながら脳梗塞を発症し、片麻痺と言語障害が残ってしまいました。「症状が出る前に行動しておけば」と悔やまれていた表情は、今でも忘れられません。

無症状でも測って、必要に応じて受診する——これがJSH2025の根底にある考え方でもあります。

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高血圧の症状と言われるサイン|本当に関係ある?

「肩こり」「頭痛」「めまい」——高血圧の症状として語られがちなサインの真偽を整理します。

よく挙げられる症状(頭痛・肩こり・めまい・動悸)

頭痛・肩こり・めまい・動悸・のぼせ・耳鳴り・鼻血など、世間で「高血圧の症状」として語られるものは数多くあります。

しかし、これらはいずれも高血圧に特異的な症状ではなく、他の原因(緊張型頭痛、片頭痛、貧血、自律神経の乱れ、ストレス、肩・首の筋緊張、内耳の問題など)で生じることのほうが多いのが実情です。

「肩こりがあるから高血圧」「血圧が高いから頭痛」と単純に結びつけてしまうと、本来の原因を見逃すリスクがあります。

血圧がかなり高いときに出やすい症状

一方、収縮期180 mmHg以上または拡張期120 mmHg以上に達するような急激な上昇では、頭痛・吐き気・視覚異常などが現れる ことがあるとされています。

臓器障害を伴わない場合は「高血圧切迫症」、脳・心臓・腎臓・大血管などに急性のダメージが及んでいる場合は「高血圧緊急症」と区別されます。

ただし、ここで重要なのは「症状の有無で重症度を判断できるわけではない」という点です。慢性的に高い状態が長年続いていても、自覚症状なく動脈硬化だけが進んでいるケースは数多くあります。

薬剤師が「症状だけで判断しないで」と伝える理由

症状があるかないかに関係なく、家庭血圧と診察室血圧の数値で判断することがJSH2025でも徹底されています。

「症状がある=重症、ない=軽症」ではないこと、症状はあくまで一つの手がかりに過ぎず、最終的な評価は数値と臓器障害の有無で決まること。これをぜひ覚えておいてください。

薬剤師が「すぐ救急(119)」と判断する3つのサイン

私が薬局で迷わず119をお勧めするのは、次の3つです。

1.激しい頭痛・嘔吐・意識障害を伴う極端な高値(高血圧脳症などを疑う場面)
2.片側の麻痺・ろれつ困難・視覚異常など脳の異常を疑う症状
3.胸痛・呼吸困難・冷や汗など心臓・大血管の異常を疑う症状


これらに該当する場合は、迷う前に救急要請をしてください。

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高血圧が引き起こす合併症|糖尿病との深い関係

高血圧の本当の怖さは、症状ではなく「合併症」にあります。なかでも糖尿病との関係は見逃せません。

高血圧が招く主な合併症

長年の高血圧は、脳卒中(脳出血・脳梗塞)、心筋梗塞・狭心症、心不全、慢性腎臓病(CKD)、大動脈解離、眼底出血など、多岐にわたる合併症のリスクを高めます。

いずれも自覚症状のないまま進行し、ある日突然発症するという特徴があります。

JSH2025では、これらの合併症リスクを下げるために、全年齢で「診察室血圧130/80 mmHg未満(家庭血圧125/75 mmHg未満)」を降圧目標とすることが示されました。

蛋白尿陽性のCKD患者、糖尿病患者、冠動脈疾患患者、脳血管障害患者、抗血栓薬服用中の方も、この目標値に含まれます。

高血圧と糖尿病が重なるとなぜ危険か

高血圧と糖尿病は、どちらも動脈硬化を進行させる代表的なリスク因子です。両者が合併すると、それぞれが単独で存在する場合よりも、動脈硬化の進行が加速度的に進むことが知られています。

糖尿病もまた初期にはほとんど自覚症状を伴わない疾患であり、二つが重なれば「二重のサイレントキラー」となります。

JSH2025では、糖尿病患者についても診察室血圧130/80 mmHg未満が降圧目標として明示されており、合併する場合の血圧管理は特に重要視されています。

薬剤師が現場で感じる「重複リスク」の盲点

健診で「血糖もちょっと高め」「血圧もちょっと高め」と両方を指摘されながら、それぞれを別問題と捉えて対策が後回しになるケースをよく目にします。

両方を同時に持つことのリスクは「足し算」ではなく「掛け算」に近い、と現場では実感します。健診で両方を指摘されたら、早期の生活見直しと医療機関への相談をお勧めしています。

自分が高血圧か知る方法|家庭血圧計の正しい使い方

症状で判断できない高血圧は、数値で把握するしかありません。自宅で簡単にできる確認方法を紹介します。

家庭血圧の基準値と測り方

JSH2025では、家庭血圧135/85 mmHg以上が高血圧の目安として示されています(診察室血圧では140/90 mmHg以上)。降圧目標は家庭血圧で125/75 mmHg未満です。

家庭血圧は、朝(起床後1時間以内、排尿後、朝食・服薬前、座位で1〜2分の安静後)と、夜(就寝前、座位で安静後)に、毎日同じ条件で測るのが基本です。

1回の高値で判断せず、複数日の平均で評価することがJSH2025でも繰り返し強調されています。

正しく測るためのポイント

測定前の喫煙、コーヒーなどのカフェイン摂取、トイレを我慢している状態、会話しながらの測定、足を組んだ姿勢、寒い環境での測定などは、いずれも数値を押し上げます。

背もたれにもたれて座り、足は床にしっかり付け、腕は心臓と同じ高さに保つ、という基本姿勢を守るだけで数値のブレは大きく減ります。

1回だけ高い数値が出ても、すぐに「高血圧だ」と決めつける必要はありません。逆に、1回だけ低く出たからといって安心するのも禁物です。1〜2週間連続で測ったうえで平均値を見るのが、JSH2025に沿った判断のしかたです。

薬剤師が勧める血圧計の選び方・記録のコツ

血圧計は、手首式よりも上腕式のほうが一般に精度が高く、JSH2025をはじめ多くの指針で上腕式が推奨されています。

市販品では「医療機器認証」がついているもの(管理医療機器として認証されているもの)を選ぶと安心です。

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高血圧かもと思ったら|オンライン診療で気軽に相談する方法

「血圧が高いかも」と気づいても、忙しくて受診できない方は多いもの。自宅で完結するオンライン診療が便利です。

オンライン診療のメリット

スマートフォン1台で予約・ビデオ診察・処方・薬の自宅配送まで完結し、家庭血圧の記録をもとに診断・処方を受けられます。

JSH2025では家庭血圧の継続記録が治療判断の中核に位置づけられており、その記録こそがオンライン診療における医師の判断材料の中心になります。

仕事・育児・介護で通院が難しい方、まだ症状がなくとも「血圧が高めと言われたまま放置している」方にとって、最初の相談先として有力な選択肢です。

受診から薬が届くまでの流れ

一般的な流れは、①オンライン予約、②指定時刻にビデオ診察(家庭血圧の記録などを事前送付できるサービスもあります)、③医師の判断で処方、④薬が自宅へ配送、という4ステップです。直近1〜2週間の家庭血圧の記録を用意しておくと、診察が円滑に進みます。

オンライン診療が向かないケース

激しい頭痛、麻痺、激しい胸痛、呼吸困難、意識障害などの緊急症状があるときは、オンライン予約を待たず119や救急外来を選んでください。

若年での重度高血圧、治療抵抗性高血圧、発作的な極端な血圧上昇など、二次性高血圧が疑われる場面では、採血・尿検査・画像検査などの精密検査が必要となるため、対面の専門医受診が前提となります。

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よくある質問

薬局でよく相談される質問に回答します。

Q1. 高血圧は何科を受診すればいいですか?

まずはかかりつけ内科、または循環器内科をお勧めします。腎臓病が背景にある可能性があれば腎臓内科、ホルモン異常が疑われる場合は内分泌内科への紹介となることがあります。

Q2. 症状がまったくなくても治療は必要ですか?

必要です。JSH2025では、症状の有無にかかわらず、家庭血圧135/85 mmHg以上(診察室140/90 mmHg以上)を高血圧と診断し、適切な管理を行うことが推奨されています。無症状でも血管へのダメージは静かに進みます。

Q3. 肩こりや頭痛は高血圧のせいですか?

肩こりや頭痛は高血圧に特異的な症状ではなく、多くは他の原因によります。「症状があるから高血圧」「症状がないから健康」と短絡的に結びつけず、家庭血圧を測って数値で確認することをお勧めします。

Q4. 健診で高めと言われただけでも受診すべきですか?

JSH2025では、高値血圧(130〜139/80〜89 mmHg)以上の方は、リスクに応じて生活習慣の改善や薬物療法の対象になります。とくに高リスクの方では、診断後できるだけ早期の治療開始が推奨されています。健診結果は放置せず、家庭血圧の記録を持って早めに相談してください。

Q5. 家庭血圧計は手首式と上腕式どちらがいいですか?

精度の観点から、上腕式が一般に推奨されます。手首式は手軽ですが、腕の位置や姿勢で数値が変動しやすいため、本格的な管理には上腕式のほうが向いています。

Q6. 高血圧と糖尿病の両方を指摘されたらどうすればいいですか?

両者が合併すると動脈硬化が加速度的に進むため、できるだけ早く医療機関を受診し、生活習慣改善と必要に応じた薬物療法を始めることをお勧めします。JSH2025でも、糖尿病合併例の降圧目標は130/80 mmHg未満が示されており、両者を一体的に管理する姿勢が求められます。

「症状がない」高血圧を放置しないために知っておきたいこと

高血圧は、初期にはほとんど自覚症状が出ない「サイレントキラー」です。

肩こり・頭痛・めまいといった症状は高血圧の指標にはならず、症状の有無で重症度を判断することはできません。だからこそ、自覚に頼らず家庭血圧計で数値を把握することが何より大切です。

高血圧の本当の怖さは、無症状のうちに動脈硬化が進み、脳卒中・心筋梗塞・腎臓病といった合併症を招く点にあります。特に糖尿病と重なると動脈硬化が加速し、二重のサイレントキラーとなります。

一方で、激しい頭痛・吐き気・意識障害を伴う高血圧脳症や、麻痺・胸痛などのサインは命に関わるため、迷わず119・救急を選んでください。 

「症状がないから大丈夫」ではなく「症状がないからこそ測って確認する」

これが高血圧と向き合う第一歩です。通院の時間が取れない方は、家庭血圧の記録をもとにオンライン診療で相談するという選択肢もあります。
本記事がそのきっかけになれば幸いです。

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参考文献:
高血圧管理・治療ガイドライン 2025~改訂ポイント~|診療ガイドライン最新事情シリーズ  

重篤副作用疾患別対応マニュアル 重症高血圧|厚生労働省

本記事の内容については、正確な情報提供に努めておりますが、その内容や、本記事をもとにした利用者様の判断・行動について、当方が責任を負うものではありません。ご利用にあたっての判断・決定は、ご自身の責任にてお願いいたします。

この記事を書いた人

専門家の紹介

薬剤師瀬川 沙希

薬剤師
瀬川 沙希

婦人科系製薬メーカーにて勤務後、調剤薬局・オンラインピル診療にて遠隔医療相談を経験。 自身の不妊治療をきっかけに漢方薬局へ就職し、漢方・薬膳の考え方を学びました。 妊活カウンセリングや薬膳教室を通じて、日々の生活に取り入れやすいケアをお伝えしています。

この記事を監修した人

専門家の紹介

天下茶屋内科クリニック 院長小幡 史明

天下茶屋内科クリニック 院長
小幡 史明

総合診療医として、高血圧、糖尿病、不眠、膝痛、腰痛など、多岐にわたる症状を持つ患者様の診療を担当します。 一人の医師が複数の疾患を統合的に管理し、標準的な治療を提供することで、診断から治療、必要に応じた専門医紹介まで、患者様の健康を全面的にサポートいたします。 天下茶屋内科クリニック https://kouyukai.info/about/
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